台東区の銭湯「燕湯」女将 橋爪雅栄さんインタビュー

台東区の銭湯「燕湯」女将 橋爪雅栄さんインタビュー

台東区上野の「燕湯」の女将、橋爪雅栄さんにお話を伺ってきました。
こちらは荒川区西尾久にある銭湯「梅の湯」の栗田尚史さんにご紹介いただきました。
荒川区西尾久にある銭湯「梅の湯」の栗田尚史さんのインタビュー記事はこちら
「燕湯」は東京都で唯一有形文化財に登録されている貴重な銭湯です。16時頃営業を開始する銭湯が多い中、燕湯さんは朝湯といって、朝6時からお店を開けている銭湯です。また、そのお湯が熱いことでも有名なのだとか。朝湯とお湯の熱さについても女将さんに伺ってみました。

燕湯さんはいつごろからある銭湯なのでしょうか?

台東区の銭湯「燕湯」女将 橋爪雅栄さんインタビュー1

燕湯は昭和25年に建てられました。その前も銭湯だったようなんですけど、昭和20年の空襲で一度焼けてしまったんです。
この建物はそのあと建てられました。それからずっと変わっていないんです。

燕湯さんの歴史

一番最初にここをやった方はもともとは新潟の燕三条の方だったみたいなんです。それで「燕湯」という名前になったようです。
私の祖父が昭和29年に三番目に代を継ぎました。代が変わっても屋号だけはそのまま使わせていただいています。
祖父が継いでからはいま息子で4代目になります。
国の登録有形文化財に登録されたのは平成20年のことです。

国の登録有形文化財について

都内の銭湯で登録されたのはうちだけのようです。
大変光栄なことですのでこの姿形を保ちながら続けていきたいですね。
建て直しなどする時は、まずお伺いを立てるんです。銭湯では薪を燃やしたり重油を燃やしたりする時は煙突が必要なのですが、燕湯で燃料をガスに変えることになったんです。ガスですと煤煙が出ないので煙突を取り壊して簡単なものに変えましょうという時があったのですが、その時も自分たちで勝手には壊せないのでお伺いを立ててから壊しました。
その際も煙突があったという痕跡を残しつつ壊してくださいと言われました。東日本大震災の時に銭湯の煙突が倒れて被害に遭われたという所も多いので、震災前に取り壊していて良かったです。

燕湯さんの従業員の方

台東区の銭湯「燕湯」女将 橋爪雅栄さんインタビュー2

私と母と息子ともう一人お掃除を手伝って下さる方がいます。
皆それぞれ別の仕事を担当しています。
息子は夜の10時くらいに起きてお湯を作って朝寝るというリズムです。
私は朝4時半から5時くらいに起きて、母と交替で店番をやります。うちはやはり番台ですので、男の子に番台に座らせるわけにはいかないので、朝6時の開店から夜8時までの10時間を二人で交替でやっていますね。20時に終わって、掃除をして23時とか24時前とかに就寝します。食事もみなそれぞれで食べます。食べられるときはお店が終わってから皆で食べたりもしますが、基本的には別ですね。

燕湯さんにはどのような方がお風呂に入りに来ますか?

台東区の銭湯「燕湯」女将 橋爪雅栄さんインタビュー3

燕湯は朝早くからやっていることもあって、高速バスで朝着いてお風呂に入っていくという方も案外多くいられます。
それも高齢の方ではなく若い方です。東京に遊びに来たり就職活動で来たりして、燕湯でお風呂に入ってから出かけていくようですね。

なぜ朝湯をやられているんですか?

朝湯はうちのその前の方からのを引き継いでずっとやっているんですけどね。
今、秋葉原のUDXっていうビルが建っている辺りは昔は「ヤッチャバ」と言って野菜市場があったんです。
市場の仕事って夜中の仕事で朝早く終わりますでしょ?そういう方たちが入りに来たりとか、上野の駅に行商に出かけてきた人が、朝うちのお風呂に入ってから仕事に出ていくということで需要があったようなんです。
もうずいぶん昔のことで定かではないんですけど、そのように聞き及んでいます。

燕湯のお湯は熱いことで有名ですが?

ええ。昔は本当に嘘みたいに熱くて、ずっと高温にしていたんです。けれども、今はとてもじゃないけれどその温度では入れないので程ほどの温度にしています。皆さんに入っていただくには多少温度を下げておかないといけませんから。
だけど、うちに朝6時に一番に入りに来てくれている方たちは、燕湯の熱いお湯に入りに来てくれている常連の方たちなので、そのときは48度とか50度くらいに一時ぐんとあげるんですよ。
そのあとは時間が経つと冷めていくでしょう?それに任せて45度から46度くらいをキープしています。
ずっと48度だと熱くて入れませんからね。46度でももしかしたら熱いと思いますけど燕湯はそれくらいです。男湯も女湯も一緒です。燕湯のお客さんはお子さんでも45度のお風呂に入っていますよ(笑)。
でも季節によっては気温と一緒にお湯の温度も変わってくるので、ぬるい時もあります。

ペンキ絵について

台東区の銭湯「燕湯」女将 橋爪雅栄さんインタビュー4

ペンキ絵は中島さんと相談してそろそろ汚れたからやりましょうという感じです。
今全国でもペンキ絵師さんは二人しかいないんです。中島さんはそのうちの一人です。こういう絵を描ける人が日本に二人しかいないのでそれだけでもすごいことですよね。
銭湯の壁はタイル絵のところもあるしペンキ絵のところもあるんだけれども、ペンキ絵はやはり独特の趣がありますし、残していきたい文化ですよね。中島さんのところにたくさん仕事が来るように宣伝してあげてください。
ペンキ絵師中島盛夫さんの公式ホームページはこちら

浴場の岩山について

岩山も元々あったものです。あれも文化財です。あれは実は富士山の溶岩で出来ているんです。
富士山は国立公園ですから、溶岩だけじゃなく今は石一個でも持ち出しちゃいけないんですよ。当時だからできたことで今じゃ出来ないです。
だからあの岩山も壊したら二度と手に入らないので貴重なんです。女湯の方は岩山から滝のようにお湯が流れています。富士山の溶岩から流れるお湯をぜひ皆さんに堪能してほしいですね。

銭湯経営で大変なことは何ですか?

お客様を呼ぶための集客がいちばん大変ですよね。
ささやかなイベントはやっているんですけれども、大々的には大掛かりなイベントが出来ない商売ですから。
外に立って呼び込みとかするわけにもいかないですしね。

今、ランチが500円で食べられる時代じゃないですか。それで銭湯での入浴料が一人450円って高いんじゃないかな?って思います。
ガスとか水道とかの値段が変わってくれば経費も上がるのにお風呂の料金は勝手に変えられませんからね。お風呂の料金が高ければ、お客さんは少なくなるだろうし、安くすればお客さまにも入ってもらいやすくなるんでしょうけれど、それでは銭湯はやっていけない。お客さまが払う料金を安くして、その分を区なり都なりが援助というか補助してくれればと思ったりしますけれど、銭湯だけじゃなく、どういう商売だってそう思っているでしょうから難しいのでしょうね。

銭湯経営で楽しいところ

台東区の銭湯「燕湯」女将 橋爪雅栄さんインタビュー5

銭湯を続けていけること、それこそが楽しいことですね。
お客様に入っていただいて「ありがとう、いいお湯でしたね」って言って入っていただけるのが一番の幸せです。

朝6時にシャッターを開けますよね。すると毎朝同じ顔ぶれ、同じメンバーの方がいらっしゃる。
毎日同じことを繰り返せる幸せ、ご挨拶出来る幸せ、それをしみじみ感じます。

お客さんの生活の一部になっているんですからね。若い方にもそういう風に銭湯が身近な存在になっていってもらいたいですね。

薬湯はいつやられていますか?

薬湯は毎週日曜に週替わりで色んなものを入れています。
身体がかなり温まりますし、活性化するのか皆さんにすごく喜んでもらっています。普段の透明のお湯じゃなくて色が付いていて、更に何かの効能があるのがいいんでしょうね。
ささやかなイベントですが、お客様に喜んでもらえていますので続けていきたいと思っています。


【燕湯】
住所:東京都台東区上野3-14-5
TEL:03-3831-7305
最寄駅:御徒町
営業時間:6:00~20:00
定休日:月曜日
設備等:薬湯/朝湯


台東区上野の銭湯「燕湯」の取材記事はこちら

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