東京都杉並区浜田山の銭湯「浜の湯(はまのゆ)」寺田尚人さんインタビュー

東京都杉並区浜田山の銭湯「浜の湯(はまのゆ)」寺田尚人さんインタビュー

今回取材した「浜の湯」は、2013年12月で57年間の歴史に幕をおろしました。
廃業する気持ちを聞くのは胸が痛む思いでしたが、ご主人はこころよく取材を受けてくださいました。
廃業ということへの思いと、57年の歴史をうかがってきました。


まず「浜の湯」に来てみて…ほんとうに立派な外観ですね!

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外観を創業当時のまま維持することには、こだわって営業してきました。
初代のころと同じ外観を維持しています。


「浜の湯」の歴史を教えてください。

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昭和31年にお店がオープンしました。
初代は霜鳥重四朗という人で、ここ浜の湯と西永福にある大黒湯を建てたと聞きます。私が銭湯に携わり始めたのは、昭和54年にこのお店の2階に住み始めたのがきっかけです。



銭湯を経営している家系に生まれたわけではないのですね。

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そうです。初代、二代目と私に血縁関係はありません。大学受験で東京に出てきたとき、兄が浜の湯に住んでいたのがご縁で、ここで生活を始めました。受験勉強をしながらアルバイトとして店の掃除、薪の片づけを始めたんです。 大学受験が終わったとき、ここの主人に「やる?」と言われたのがきっかけでお店を引き継ぎました。



すごく特殊な引き継ぎをされたんですね。大学のほうはどうされたんですか?

行かなかったですよ。一応合格したところはあったんですけどね(笑)



「浜の湯」の特徴といえばなんでしょう?

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第一に建物が昔のままということです。第二にうちの店は番台なので、マナーに関してはうるさいくらい注意していたと思いますよ(笑)お客さんの様子がわかるというのは番台の利点ですね。

廃業の理由はなんでしょうか。

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浴室の床や壁に埋め込んであるパイプが老朽化してしまったことです。水漏れがひどく、夜調節箱に貯めた水も朝にはからっぽになるくらい、いたるところで水漏れしてしまっている現状です。 修理といっても、埋め込まれているものなので、床を掘り返す必要があります。要は浴室一面を工事しないといけないんです。お金を借りる必要がありますし、後を継ぐ人もいないので、廃業を決断しました。



簡単に修理というわけにはいかないのですね。ちなみにですが、配管の水漏れってどうやって判断するんですか?

熱いお湯を配管に通すと、水漏れしている部分だけ熱くなるんです。それで破損個所を判断します。

パイプの漏れがどんどん出てくるなかで、どうやって営業していたのでしょうか。

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漏れるぶん、お湯を多めに出すようにしてきました。一口でお湯と言っても暖めなくてはいけないので、余分な燃料を使うことになります。うちは燃料が薪なので、燃料代はガスや重油より安かったためなんとかその方法が使えましたが、そうでなかったら2013年まで持たなかったと思います。

銭湯をやってきて大変だったことはなんでしょう?

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薪でお湯を沸かすことですね。
昔は2トントラックで業者が薪を持ってきて、それを一人で釜場に降ろしていたんですよ。「明日のこの時間までに降ろしておかないと、明日は持ってこないからな!」とあおられたり(笑)


では楽しかったことはなんでしょうか。

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お客さんとの会話ですね。銭湯という場所柄なんでしょう、社長さんであっても土木作業員のおじさんであっても「一人のお客さん」であって、分け隔てなく接することができるんです。
普通に生活していては聞けないような話をたくさん聞くことができました。


思い出に残っていることはなんでしょう?

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今ではなくなりましたが、昔は頑固おやじがいまして。マナーの悪いお客さんを注意してくれていました。お客さん同士で収まらない時は釜場への扉をたたいて「おい!なんとかしろ!」なんて言われたこともありましたね。お湯が熱かったりぬるかったりしたときは目を吊り上げて怒っていたものです。

メッセージをお願いできますか?

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都会の生活のなかで、孤立してしまっている人が多いです。そういった人たちに話をしに来てもらいたいですね。それが公衆浴場の良さだと思います。実はお店の人もそれを楽しみに待っています。なにもかしこまることなんてありません。みんなでおしゃべりしてバカの一つでも言って、笑顔で帰ってもらいたいです。うちは終わってしまいますが、銭湯の良さをみなさんで探してみてください。


風呂デューサーの取材メモ

57年間、本当にお疲れ様でした。
浜の湯はなくなってしまいますが、浜の湯を知っている人たちは「ここに銭湯があった」ということはきっと忘れないと思います。
地域とともに歩んだ歴史を持つ銭湯をいかに残していくか。お風呂温泉倶楽部としてできることは何かと考えさせられた取材でした。
(記者:風呂デューサー 毎川直也)


【東京都杉並区浜田山の銭湯「浜の湯」】

住所:東京都杉並区浜田山3-24-4
最寄駅:京王井の頭線 浜田山 徒歩3分

東京都杉並区浜田山の銭湯「浜の湯」の取材記事はこちら

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